【ヴィジョン】

ある、とても晴れた休日。

男は家族と一緒に時を過ごしていました。

すると、向こうの方から子供が駆けて来ます。

足を怪我した息子が、びっこを引きながらも自分の元へと一生懸命に走って近付いてくる姿を見て、男は一瞬、世界の本質を見た様な気がしました。

その子はとてもまぶしく見えて、直視出来ない程に輝いていました。

それは彼の人生にとって、光の時でした。

この子の為になら自分の足だって、幾らでもくれてやると思えました。

閉じきっていた男の視界が、少しだけ開けた気がしたのです。

しかし、それはただのマボロシで、男はまたすぐに瞳を閉じました。

事実、男はとても強欲な人間です。

全てを手に入れる為に、自分の信念の為に、沢山の人間を傷つけました。

正義でもなく、悪でもない、その中間地点で長い長い苦しみの時を過ごす事を自らで選択したのです。

幾年が過ぎ、男は望み通り、全てを手にしていましたが、孤独でした。

それから更に時が過ぎ、ついに、男はある寒い晩にたった独りで苦しみ、もがきながら息絶えました。

それは、とてもとても孤独な死でした。

それは彼の人生にとって、闇の時でした。

しかし、その苦悶の表情は良く見ると、どこと無く満足げにも見えたのでした。


【SKULLGAME】
MAIL:skullgame@hotmal.co.jp
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